いびがわ -備忘録も兼ねて- その3

揖斐峡大橋付近の第一関門・8.4k地点から折り返しまで約2k。平地の感覚ですぐ戻ってこれると思っていましたが、

 
ひたすら上り。
 
上れど上れど、折り返しが見えてこない。
 
そろそろでしょーと見上げると、頭上で人の列が動いている。
まだあんなに上に・・・
 
後半のために脚を温存しているのか歩いている人が多く、道幅が狭いので行く手を遮られてしまいます。
ペースを乱したら持たない気がして、踏ん張って「通りまーす」と追い越して行きます。
 
(私は歩かないぞっ)と、半ば意地になってノロノロペースで脚を前へ出し続けます。
上り続ける状態が何だか楽しくなってきました。 (ハイだったのかな)
 
右を見遣ると、雨にけぶる紅葉が美しい。
凄い充実感。
 
折り返し地点に到達する頃には、淡々と走れる精神状態に落ち着き、淡々と下っていきます。
 
止まって休みたいなんて全然思えないよ~。BCAAが効いてるのかな~。
 
そうはいっても、脚に張りと疲れは感じてきました。
 
上ってくる途中で、早々と折り返してきた方が脚がつって動けなくなり、手当てを受けているのを見ました。「チクショー!」って大きな声でとても悔しがっていて。
私がそんな状態になったら間違いなく制限時間に間に合わない・・・恐い・・・
 
給水で止まった隙に軽くストレッチ。
そしてまた淡々と走る。
 
そのうち、今度はお腹が鳴りました。エネルギーが足りない感覚は無いけれど、空腹を感じてから補給していたら遅いんですよね?! スポーツようかん食べた方が・・・でもポーチから取り出すの面倒くさい・・・と迷っているところに、エイドが。
 
あんぱん発見!!
これが美味しかったんですよ。生地も餡も。
 
ふくらはぎを伸ばしながら食べて水を流し込み、安心したところで先を急ぎます。
 
その先の道端で
 
倒れたランナーが心臓マッサージを受けているのに遭遇しました。
 
メディカルスタッフの方が必死で胸骨圧迫をしています。
40~50代の男性。どうか無事であってほしい・・・
その後特にニュースを聞かないので大丈夫だったと信じています。
ゴールを待っているであろうご家族やお仲間の気持ちを思うと胸が締め付けられます。
 
無理はしない、と改めて肝に命じつつ、無事完走しなくてはという思いも強くなりました。
 
3時間を切るフルのランナーが次々と追い越していくようになりました。
 
風のように去っていく後ろ姿。男女問わず引き締まったランナーの走る姿の格好いいこと・・・モチベーションが上がります。
 
そんなこんなでいつの間にか平地と言える所まで戻ってきました。
 
また沿道の応援も増えてきて、こちらもテンションがキープできます。往路で見覚えのある方もいらっしゃいます。長時間ありがとうございます。
疲れて歩いている姿は見せたくない!
長く感じる土手の一本道。
隣を走る年配の女性は音楽を聴きながら鼻歌を歌っている。
私も次は頭の中で流すテーマ曲見つけよう。
 
脚はとっても重いけれど、幸いお腹の調子は悪くない。
残り3k地点のスイーツエイドで、予定通り
大福(小さいやつです)
ニッキ餅
を食べ、達成感UP。地元の御菓子屋さんが提供されているものなので本当に美味しいです。
遅いランナーの分も充分用意されていて嬉しい。
 
(復路はエイドが充実していて、この地点以前でお味噌汁も飲めたし、炭酸ジュースも頂きました。元気が続くわけですね。)
 
止まっている時間が長めだったので再開すると脚が更に鉛のように重く感じます。
うーん、さすがに走ったことのない距離になるといつもと違う所に痛みが出るな~。
足裏の指の付け根近くがツキンツキンしています。
 
最後まで止まない雨に疲労してしまった方も多いのでしょう。歩いているランナーを何人も鈍足な私が抜かして行きます。
気持ちはラストスパートをかけたいけれど全くスピードは上がりません。
歩いている人がゴール間際で走り出して抜かされるのだけは悔しいと、中途半端な変な対抗心も抱きつつ
 
とうとうゴール会場にまで入ってきました。
ゲートに続くカーブに来たとき、
ボロボロになって戻ってくる可能性も覚悟していたので、本当にこのまま走ってゴールできるんだと思ったらジワーっと込み上げて来ました。
あ、いかん。ゴールで母が待ち構えている筈だから笑われるかもらい泣きさせてしまう、と堪えた瞬間に名前を叫ぶ母が!
「おぉ~!」と男らしい声で振り向き様大きく手を降る私。
 
ゴールした直後、一瞬だけ手で顔を隠しました。